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5月「父と母を敬いなさい。」

 

日本の文化のなかでは、「父と母を敬え」と聞くと、家父長制度的で儒教的な響きを感じてしまうのかもしれません。しかし、命を支える、そして与える存在を大切に思うことができるためには、まず自分のことを大切に思えることが必要であるように思います。

 

今月の聖書の言葉は、イスラエルの人々がキリストの生まれるより1000年以上も前から、神様からの教えとして大切にしてきた言葉です。様々な苦難の続く民族の歴史の中で、自信も、誇りもズタズタにされる経験を味わいながら、それでも希望を見出すことができたのは、自分たちは神様に見守られ祝福されているという強い思いからでした。

 

たとえどのような困難や、悲しみの中にあっても、それでも自分たちは神様に愛され、存在するに値する民であり、一人一人であることを信じることで、人々は自らの命を喜び、感謝することを大切にしました。だからこそ自分のいのちの直接の原因である父と母を敬うことも忘れなかったのだと思います。

 

こども園に集う子どもたち一人一人も、愛されること、大切にされることを経験する中で、自分を好きになり、自分とつながる全ての人を大切にする心を養ってくれることを願います。

 

お父さんお母さん、子どもから敬ってもらいたいと思ったら、子どもを大切に愛することなのかもしれませんね。新しいこども園の一年が素晴らしい一年となりますように、心からお祈りいたします。                             

                    荒谷 出:こども園宗教主任