10月の主題 一緒に(3歳以上児)/ いっしょに(3歳未満児)
10月の聖句 めいめい自分のことだけでなく、他人のことにも注意をはらいなさい。(フィリピの信徒への手紙 2章4節)
10月の讃美歌 どんどこどんどこ(3歳以上児)/ ちから(3歳未満児)
一緒に・いっしょに
「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉が示すように、過ごしやすい季節になってきました。心地の良い風が吹き始めると、その風のささやきが子ども達には聞こえるのでしょうか、吹く風に応えるかのように子ども達は動き始めます。風を切って 1
人が走りだすと、その後を追うように何人もの子ども達が後に続きます。ブランコ、滑り台、登り棒、雲梯、鉄棒と園庭の固定遊具に、沢山の子ども達が群がり、競うかのように挑戦しています。固定遊具だけでなく、砂場での山や川づくりもダイナミックに展開しています。リレーや体操、ダンスなど体全体を使う遊びが気持ちいいのでしょうか、自然に体が動き出すようで何度も何度も要求し「もうお終いね」の言葉がかかるまで、繰り返し楽しむ姿も見られます。ファミリープレイデーに向けてそんな一人ひとりの「楽しい、面白い、やってみたい」の思いを、共に「一緒に」積み重ねて行きたいと思います。人は人として生まれ、人となって行く生きものです。どこで人となるかと言うとそれは人との群れの中で育てられていくのです。勿論子ども達も同様です。一つの目標に向かって「一緒に」行うということは、思うようにならない悔しさ、できたという喜び、力を出し合う爽快感や達成感など、様々な気持ちを積み重ねる過程を経験し、学び、折り合いさえも身に付けて行く過程でもあります。一人ひとりの心の動きとその過程を大切に育んでいきたいと思います。共に「一緒に」様々な事を経験し合う中で、支え合い、力を合わせ、仲間と仕えること、そのような事のために自分の力を仕えたとき本当の喜び「やった」と言う体験を大切にしていきたいと思います。
高くどこまでも青く広い空。心地良い季節を満喫し、五感一杯に共鳴し合う時を丁寧にじっくり味わいながら保育を重ねていきたいと思います。子ども達の興味関心はどこに向かうのでしょうか。どのような事に驚き、喜びを感じ、どのように表現し遊びを広げていくのでしょう。自然の中に身を置き、神様の御業を体いっぱいに感じ取る時を大切に重ねて行きたいと思います。子ども達の見ているものを「一緒に」に共有し共感する日々を紡ぎ重ねたいと思います。
ファミリープレイデー・未満児プレイデー
10 月は保護者の皆様にとりましても、ご家族で楽しむファミリープレイデー・プレイデーの行事を楽しみにしていらっしゃる方々が多いことでしょう。こども園では、この行事がどの子ども達にとっても「とびっきりの楽しい最高の時」であって欲しいと願っています。そして何よりも一人ひとりの「やりたい気持ち」を大切に、遊びや園の生活の延長線上にある活動として、「楽しみながら」を第 1
に積み重ねています。「面白い」と夢中になって遊び込む子ども達の姿を見ていると「今この子は本当に幸せな時を過ごしている」と感じます。運動が得意な子もそうでない子も走るその姿は、どの子も一生懸命で輝いています。できる、できないという見栄えが大切なのではなく、子ども達の成長の過程を受け止め、応援して欲しいと思います。ご家族の応援が子ども達にとって何よりの活力になります。何よりもお家の方々に「素敵だった」「頑張ったね」と認めて頂くことにより、喜びが自信となり次の挑戦の力になるのです。プレイデーは明日へと繋がってゆくのです。たくさんの応援よろしくお願いいたします。
どの子ども達も神様に愛され守られていることを覚え大切に保育を重ねたいと思います。
ハレルヤ通信 10月号
稲穂の波打つ中、畔道を教えるかのように赤い彼岸花が鮮やかに彩りを添えていた 9 月。其の色も薄らぎ、10 月の秋晴れの高く高い青空の光を受けてすっかり頭の垂れた稲穂の波が、日を追うごとに黄金色に変化し輝き出すのもそう遠いことではないでしょう。そんな車窓の景色を感じながら、澄みきった季節を子ども達と神様の豊かな御業を満喫したいと願う毎日です。
今回は長男の話を一つしたいと思います。長男は、「石橋を叩いても渡らない」といった慎重な性格。長男が3歳の時、保育者経験のあった私は入園準備に向けて 30
分位で食事が終わるようにと考えて、長男と向き合ったらチックが・・。無理をしたつもりは毛頭なかったのでショックでした。この子はこの子のペースで、普通の子の様にと考えてはいけないと自分自身に課した記念の日となりました。年長の時の運動会の体育遊びの種目は無理をしないが大原則だったので、鉄棒の逆上がりも竹馬も登り棒もできません。余りに忍びなく親の責任と思い、竹馬はコツさえつかめば出来るので竹馬を家庭用に購入し夜家に帰ってから、畳の部屋で(竹馬が安定するので)特訓し上手に歩けるように仕上げました。逆上がりに関しては「今は無理」と判断したので、「今は出来なくても大丈夫。力が付けば出来るようになる。努力だけは忘れないのよ。」と出来なくてよいと寄り添いました。そして私も迂闊にもすっかり忘れていたのです。ところが中学生のある日、長男が「お母さん、嬉しいことがあるんだ。」と言うのです。ずっと忘れていたはずなのに母の私はなぜかぴい~んと来たのです。「逆上がり!」「できた!」なんと中学生になってからの事です。長男には「無理をしない」それだけであるがままの彼を不本意ながら受け止めてきただけでした。それでも彼はずっと彼の中で、自分の課題として願い続けていたことも知らされました。
鯨岡俊先生は、『保育者に今の「ある」を肯定的に受け止められた子ども達は、決して今のままに止まっていない。受け止めてもらえた喜びと自信の中で、自分の「こうしたい」「こうしてみたい」「やりたい」と言う思いが膨らみ、必ずそれを実現することへと自ら向かうようになる。つまり子どもは、今の「ある」を自ら乗り越え、自ら「なる」に向かう芽が内側から芽吹いてくる。』と提示します。子ども達一人ひとりの内在する力を信じて寄り添い待つ、そんな保育を大切にしていきたいとあらためて強く思います。
園長 白石 由紀