今日、ダビデの町で、あなた方のために救い主がお生まれになった。
ルカによる福音書 2章11節
イスラエルの人々は、長い間大国の支配に苦しみ、終わりの見えない絶望を生きていました。その人々にとっての希望は、人々に語り続けた預言者たちが繰り返し語った「神さまは決してあなた方を見捨てない」という約束の言葉だけでした。その約束が、今実現したと、天使たちは伝えます。言い伝えは、その昔現れた偉大な王様ダビデ王の故郷で、再び救い主が出現するというものでした。
でも、その知らせは、あろうことか、彼らの社会で一番価値がないと思われていた、貧しい羊飼いたちだけに知らされたのです。社会の片隅で、その社会で力をもった人々が誰も気づかないうちに、救い主はベツレヘムというダビデ王の出身の村の、それも村の人々すら気づかない家畜を飼うための小屋にあった餌さ箱に産み落とされたのです。
聖書が語っていることは、救いの出来事は、貧しい人、悲しんでいる人、傷ついている人のもとに届けられるというメッセージです。私たちがその救いの出来事に関われるとしたら、そうした小さくされた人々と共に生きる時にだけもたらされるのだということです。
そうした人々に出会い、寄り添う時に、救い主が私たちと出会われるのです。
クリスマスが、私たちの周りに生きるそのような人々に心を開く時となることをお祈りしています。メリークリスマス!
荒谷 出:こども園宗教主任