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3月「わたしは世の終わりまであなた方と共にいる」

わたしは世の終わりまであなた方と共にいる

マタイによる福音書 28章20節


 今月の聖句は、マタイによる福音書という新約聖書のイエス伝の一番最後の部分です。 キリストが十字架につけられお墓に葬られたはずなのに、姿を消してよみがえったというキリスト教の信仰の一番核心の部分は、なかなか理解しがたい出来事です。でも、聖書を通して一貫しているメッセージは、死んだ人が復活したからすごいことなんだということではなく、キリストは、いつも、そして今もあなたと共におられるということだと思います。

 クリスマスの物語の中で、マタイによる福音書は、来るべき救い主は「インマヌエル」と呼ばれる、つまり、いつもあなたと共におられるという方だと伝えています。 そして福音書の最後に、イエスは地上から姿を消しますが、でもどんな時でもあなた方といるというメッセージを残して去っていくのです。
 わたしたちにとって、一番心が傷ついたり、不安でどうしようもなくなる時は、自信を打ち砕かれたり、自分を理解してくれる人の存在を信じることができなくて絶望する時だろうと思います。孤独、疎外が日常的に渦巻いているのが現代社会の病んだ部分です。そんな時にわたしたちの心を支えるのは、自分を見守ってくれ、理解してくれる存在です。その存在を知っていれば、どんなに大変なときにでも、もう一歩前に進む勇気を与えられます。
 聖書は、そんな勇気をわたしたちに与え続ける書物として、2000年以上、人々の力になってきた書物なのです。

 荒谷 出:こども園宗教主任