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7月「主は私たちを造られた。」

 

「主は私たちを造られた。」

詩篇 1003

 


 

聖書の読み方って、なかなか理解しづらいと言うか、とっつきづらいものがありますね。子どもたちはとても素直ですから、神様がみんなに命をくださったと聞いて、ストレートに納得出来るようですが、大人はそうはいきません。中学生くらいから以降は、そんなわけないじゃん、非科学的じゃん・・・・という反応が返ってきます。

 

 

でも、時に自分の存在を受け入れられなかったり、自分のアイデンティティー、つまり自分の価値をどうしても評価できない人生の様々な苦悩に直面するときに、人はふと全てがわからなくなり、前に進むことができなくなるものです。歴史の中には、そんな人々の苦悩の叫びが溢れています。

 

 

 奴隷としてアフリカから北米に連れてこられた多くの人々も、300年余り続く過酷な強制労働と、差別の経験から、自分たちは劣った存在であり、醜い存在だといつの間にか自らが思い込まされていました。そこからは生きることの喜びや、人を前に押し出す希望という力は湧いてこないものです。

 

 

  モハメッドアリという徴兵を拒否してチャンピオンシップを剥奪され、3年以上刑務所へ入れられたボクサーが、Black is beautiful!と叫んだとき、世界中の差別や抑圧に苦しんでいた数え切れないほどの人々が、「そうだ!自分たちの命は尊いのだ!」と感じ勇気をもらいました。それはアメリカの黒人たちだけではなく、米国に暮らす多くの少数者、そして南アフリカの黒人たちにとっても、歴史を変えていくエネルギーの源になりました。

 

 

 聖書の言葉も、同じです。神はあなたを造られた!あなたの命は尊いのだ!というシンプルな言葉に、今までどれだけの人々が、生きる勇気と希望を与えられたことでしょうか。子どもたちも、この言葉を幼い心に刻み、様々なことを乗り越えて行って欲しいと、心より願います。

 

 

       こども園宗教主任