「平和を実現する人々は、幸いである。」
マタイによる福音書 5章9節
8月は全国で、そしてキリスト教主義学校では平和を覚える月として守られることが多いと思います。太平洋戦争の敗戦、広島、長崎への原爆投下と、8月は日本人にとって、戦争のことを思い起こす日が続きます。でも、本当は8月だけではありません。おそらく日本の近代史にとって、もう一つ決して記憶から消し去ってはならない出来事に、沖縄での悲劇があります。それは原爆、終戦に先駆けて起こり、1945年の3月末から、本土の終戦を越えて、8月末、いや9月まで続きました。想像を絶するほどの多くの人々、特に民間人が犠牲となりました。今、そうした悲劇を語り継ぐ人々が、高齢のためにどんどん減っています。私たちも含めて、平和を語り継ぐ人々のほとんどが、戦争の体験を直接持っていない世代になっています。だからこそ、こどもたちに、平和への思いを引きついでいく必要があると思います。今、子育て真っ最中の皆さんこそ、これからのこの国の平和のために、「平和を実現する人々」となることが、聖書の言葉からも問われているのではないでしょうか。神さまの与えられた命を大切にする心、その命を守ることを自身の中で思い続ける感性を育てて行く時、本当の意味で、すべての人々が平和を望む社会への可能性が芽生えるのだと思います。ご一緒に力を合わせていただけることを願ってやみません。 荒谷出(こども園宗教主任)