「主はすぐ近くにおられます。」
フィリピ信徒への手紙 4章5節
世の中が変わる時って、以外と気づかないものです。僕も、世界の情勢が大きく変わった歴史の転換をいくつか経験しているのですが、その時にはまったく気づいていなかった場合がほとんどです。ベトナム戦争が終わった時、ソ連が崩壊した時、ベルリンの壁が取り除かれた時、世界中で南アフリカのアパルトヘイトへの批判が高まり、ついには当時の南アフリカ政府が、黒人たちの人権を認め新しい国作りを決意した時、その他にもたくさんあります。でも、世界で起こっていることに関心を払っていないと、それは何か他人事、よそ事のまま過ぎ去ってしまいます。
今、3か月がたつにも関わらず、アメリカの各地で、黒人の人々の人権回復のためのデモや運動が続いています。黒人への差別や暴力をやめるということだけではなく、今、アメリカは、その国の根本から歴史や制度を見直し、すべてをやり直そうという人々の思いであふれています。そして、悲しいことにそれをさらに暴力で抑え込もうという動きも大きくなっています。
アメリカの知人の牧師から連絡が来ました。心の底から、白人も含めて、おそらく国民の80パーセント以上が、今こそアメリカの国を根本から作り直そうという決意でいるようです。しかし、それを妨害、破壊しようという動きもどんどん大きくなっているそうです。心から、この国はこれからどうなるのかという不安に襲われているそうです。
「主はすぐ近くにおられます」という聖書の言葉、そんな不安と混乱の中にあっても、人々が願うことが、神様の望まれる社会、人の在り方であることを、僕も心から願っています。
こども園宗教主任 荒谷 出