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12月「今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。」

「今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。その方こそ主メシアである。」

 

 ルカによる福音書 2章11節


この聖書の言葉は、イエスの誕生の知らせを、町の外の野原で羊の番をしていた羊飼いたちへ天使たちが届けた言葉です。「あなたがたのために」という言葉には、まさに、ユダヤの人々がみんな救い主を待っていた、つまり、ローマの支配から解放してくれる強い王様、指導者を待ち望んでいた中で、そうした社会の主流の人々へではなく、「あなたがた」、世の中から忘れ去られて生きる人々、差別や偏見のもとに弱く貧しくされて生きていた人々のために、今、救い主が生まれたという知らせとして、聖書は伝えています。

「この方こそ」という言葉は、人々が見ても気づかないような「この存在」こそが、実は神様のなされる業なのだという知らせです。力や権力、富やきらびやかさの中に救いがあるのではなく、一番弱くされた人々と寄り添うメシアの姿の中に、本当の救いはあるというのがクリスマスの真のメッセージだと思います。

こども園のクリスマスを通して、子どもたちが、強さの中にではなく、優しさの中に、神様の本当のメッセージを聞き取る心を育ててほしいと願っています。マリアとヨセフも、世の中から忘れ去られた存在でした。誰も気づかぬところで、救い主はお生まれになった。そして、それに気づいたのは、この世界で、同じように悲しみや苦しみを生きていた人々が、自らの悲しみを通して、その出来事に気づいたのだと、聖書は伝えています。相変わらず、コロナの感染拡大が留まるところを知りません。皆様のご家庭でも、健康に気を付けて、心温まるクリスマスとお正月をお迎えください。     

 

こども園宗教主任  荒谷 出