今月の聖句 5月
「主よ、お話しください。僕は聞いております。」
サムエル記上3章9節
子どもがいないハンナが、子が与えられるようにと神さまに心を注いで祈り願って与えられた赤ちゃんがサムエルでした。母ハンナは幼子サムエルが乳離れすると、サムエルを神さまに捧げるため、祭司エリのところに預けます。サムエルは祭司エリのもとで育ちました。サムエルが成長し、少年になった時のことです。ある日、少年サムエルが寝ていたとき、「サムエル、サムエル」と呼ぶ声が聞こえたので、祭司エリのもとに走って行き、「お呼びになったので参りました」と言うと、エリが「わたしは呼んでいない。戻っておやすみ」と言うのでサムエルは戻って寝ました。このことが三度繰り返されたとき、祭司エリは少年サムエルを呼ばれたのは、主(神さま)であることを悟り、サムエルに次のように告げます。
「サムエルよ、戻って寝なさい。もしまた呼びかけられたら、『主よ、お話しください。僕(しもべ)は聞いております』と言いなさい。」その後、これまでと同じように主がサムエルを呼ばれたので、エリのアドバイス通りに応えると、少年サムエルに、神さまの静かな声でお告げが語られました。「あなたは、大きくなると神さまの預言者として…」。
私は、この聖書のお話を毎年、お泊まり保育の時に子どもたちに語ります。子どもたちは、おそらく初めて保護者の方々と離れて、自分の家とは違うこども園の園舎に泊まるわけです。不安もありホームシックになり悲しくなる子も何人かいます。まさにサムエルが自分の家を離れ、祭司エリの住む神殿に泊まっている状況と似ています。この聖書のお話が子どもたちに身近に感じる状況です。翌朝、神さまの呼びかけを聞いたかどうか、子どもたちに聞くのですが、「なんにも聞こえなかった」とほとんどの子どもが答えます。
でも、このサムエルのお話は、おそらくずっと心に残り、あるとき現実に起こることを願っています。
神さまの声はかすかな声で静かです。そして目には見えません。でも神さまの働きがあることを知っていれば、周りの誰かの言葉を通して、神さまの声を聞くことができるはずです。神さまは私たち一人ひとりに特別な使命(ミッション)を与えてくださっています。子どもたちが成長するなかで、神さまが与えてくださった特別な使命に気づき、神さまと共に豊かな人生を歩むことができることを願っています。 (園長 押川幸男)
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