今月の聖句 9月
「主において常に喜びなさい。」
フィリピの信徒への手紙4章4節
どんな時にもポジティブでいられる人、もしくはいつもネガティブになってしまう人と様々ですね。でも実際に解決し難い困難や悲しみに遭遇した時、それでもポジティブでいることはなかなかできないと思います。「いつも喜んでいなさい」なんて聖書はいったい何を言っているんでしょう。現実から目を背けて無理やり楽しく振舞いなさいなんて言っているならそれは無理難題です。
「尊厳」ということについて研究しているあるアメリカ人の女性学者が、夫婦でアラスカかどこかの大自然あふれる場所を訪れた時の体験を書いておられました。満天の星空とそこに煌めくオーロラを見た時に、大自然の壮大さと神秘に深く感動した彼女は夫に、「こんな荘厳な景色を前にすると、自分はなんてちっぽけな存在なんだろうととても強烈に感じ、恥ずかしく思えてくるわ」と。
すると連れ合いである男性は「そうかなあ。自分はこんなに神秘的で圧倒的な宇宙の様子を目の前にすると、いつも『ああ、自分もこのすばらしい創造の世界の一部として生かされているんだ』と感じてうれしさと感謝の気持ちでいっぱいになるんだよ」と答えたのだそうです。
私たちの日常は思い通りにいかない「事件」で溢れています。子育てや家族なんてそんな場面の連続なのが普通かもしれません。そんな一つ一つの出来事に向き合うなかで、「ああ、それでもこの生活のすべては、命を与え祝福してくださる方の計らいの一部なんだ」という心の視点を持つ時、同じ景色が違って見えるのかもしれません。「主にあって」という聖句の言葉はその気づき、視点の大切さを教えてくれています。
こども園宗教主任:荒谷 出
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