今月の聖句 11月
「成長させてくださったのは神です」
コリントの信徒への手紙(一)3章6節
キリスト教は愛の宗教だとよく言われます。みなさんはどう思われますか?「愛する」ことを大切にしているはずなのに、キリスト教の歴史を見ると、いつも対立、分裂が繰り返されてきました。時には戦争という状況で正義の根拠として利用され、敵を愛するどころか、打ち負かしたり、支配することに利用されてきました。悲しくけっして自慢できる歴史じゃありません。教会という集団の中でも対立や排除が繰り返され、その現実は今でも存在しています。
それじゃ、キリスト教って何なのでしょう。愛は建前?そんな風に感じてしまいますよね。コリントの信徒、つまりコリントにあった教会に手紙を書き送った使徒パウロは、あらゆる手紙の中で、繰り返し繰り返し愛すること、赦すことの大切さを主張します。ですが、それが繰り返されれば繰り返されるほど、愛することができないで傷つけあっている人々の現実の姿が浮き彫りにされています。
ですから、パウロは愛することができないでいる人々に、彼らが思い起こさなければならない大切なことを伝えようとしていると思うのです。それは、すべての存在は神様によって命を与えられ、そして大切な存在だということ。すべての人はそこに在るだけで、神様から与えられた価値を備えているということです。それは時に「尊厳」という言葉で言い換えることができます。
そのことにまず気づきなさい。そして対立する相手も、自分を傷つけてしまう相手も、それでも神様によって愛され、そして成長の機会を与えられている一人一人なのだということに気づきなさい。それを本当の意味で理解することなしに、人を大切にしたり、受け入れることはできないのですよと教えているのだと思います。
こども園で日々を過ごす子どもたちが、その一番大切なことを学び、一人一人が皆同じに大切で愛される一人一人であることを心に刻みながら成長してくれることを願います。
こども園宗教主任 荒谷 出
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