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5月「野の花がどのように育つのか、注意してみなさい。」

今月の聖句 5月

野の花がどのように育つのか、注意してみなさい。

マタイ 6:28



あるアメリカの心理学者ドナ・ヒックスが人間の尊厳についての本を出版して今注目を集めています。

「尊厳」を彼女は、「すべての人が持っているその人の価値であり、同時に兼ね備えている弱さを知り受け入れることから来る平安のこと」と定義しています。「弱さ」は英語のvulnerabilityという言葉が使われていて、「傷つきやすさ」と訳した方が分かりやすいかもしれません。

弱さを受け入れるとはどういうことなのでしょうか。彼女がこんなエピソードを紹介しています。

ある時、ヒックス夫妻は久しぶりに夫婦で大自然の中での休暇を楽しんでいました。夜に二人で空を見上げて満天の星空の美しさに心を奪われました。ドナが夫に「こんなに荘厳で素晴らしい景色を眺めていると、この世界の美しさと壮大さの前に自分が恥ずかしくなるわ。だって自分はなんてちっぽけな存在なんだろうって思わされるから。」

すると夫が答えたのだそうです。「そうかなあ。僕はちっともそんな風に感じないよ。このすばらしい宇宙の様子を見ていると、感動と共に言いようのない喜びに満たされるんだ。

 

 

だって僕もこの素晴らしい創造の世界の一部であることを許されていることを感じ、感謝の気持ちでいっぱいに満たされるんだ。」

今月の聖句、「野の花がどのように育つのか・・・・」というイエスの言葉もこのヒックスの気づきと同じことを教えているように感じます。私たち一人一人は不完全な存在で、すぐに傷ついたり、失望したりします。その時に自分の力のなさや、ふがいなさに心を支配され、自分への評価を低くしてしまうことがほとんどです。子どもたちが育っていく中でもそんな経験をいっぱいすることでしょう。

そんな時、自分に足りないところがあっても、それを認めて、それでもゆるぎない自分の価値を知っていることが人間の強さにつながるのだと思います。そしてそのゆるぎない確信、自分の価値を知る心は、大切にされること、愛されることで強められるのだと思います。

子どもたちがそんなゆるぎない心の土台を子ども園で過ごす毎日の経験で育てていってくれることを願っています。

 

こども園宗教主任 荒谷 出

 

 


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