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3月「主が一歩一歩を備えてくださる。」

今月の聖句 3月

主が一歩一歩を備えてくださる。

箴言(しんげん) 16:9



箴言という旧約聖書の書物の一つはことわざ集です。ユダヤ民族の歴史の中で培われた知恵の言葉集だといえます。平和のこと、苦しみや悲しみの意味、家族や人間関係の悩み、人生に起こる様々な不条理の中で、ユダヤの人々が紡ぎだしてきたことわざは、文化や歴史を超えて私たちに語り掛ける輝きを放つものが多く収められています。日本にも大陸から伝えられたものや、日本の思想家たちが残した多くのことわざがあり、それに励まされたり希望を見出した体験を持つ方が多いだろうと思います。それらにも共通して言えるのは一つ一つの言葉や知恵には、それが語られた歴史的な状況や人間の生きる具体的な状況があったはずです。

旧約聖書は特に歴史の体験の中から語られる書物です。古代メソポタミアに暮らしていた弱小の民族が、当時の世界帝国であるメソポタミアで社会の底辺に暮らしながら、新たな土地を求めて放浪の旅に出たのが民族の歴史の始まりと言われています。行く先々で立ちはだかる強い部族に支配されたり、その中に溶け込んで暮らしていくうちに、しだいに社会の片隅に暮らしていた人々が仲間となり、民族を形成していきました。それは、苦しみや不条理の続く彼らの歴史の中で同じ思いに共感した人々が、しだいに彼らを導く神様を同じ名の神様だと信じるようになっていくアイデンティティ形成の歴史でもあったのだと思います。

どんな困難や危機に直面しても、それでも神様がそこに共に苦しまれ、そして共にいてくださるという信念は、どんな時にでも希望を失わない信仰と知恵を育てていったのです。新約聖書のクリスマス物語でイエスは「インマヌエル」(神は共におられる)と呼ばれるであろうという記述にも受け継がれています。

 21世紀は4分の一進み、今世界中が大きな混乱と不確実さに巻き込まれているように思います。世界中が人類にとって最高、最終的と信じて疑わなかった民主主義が、世界のいたるところで土台から崩れ去る危機に直面しているようにも強く感じられます。そしてその先にどのような世界が待ち受けているのか、こどもたちが生きる世界がどのように変わっていくのか見えない世界です。 だからこそ、そのような不安定さの中にあっても「主が(神様が)一つ一つを備えてくださる」という知恵が、世界が本当の平和の実現を信じ続けていける力となることを願います。そんな知恵を子どもたちが心の奥底に培っていけますように。

こども園宗教主任   荒谷 出


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